10年ほど前には、非線形偏微分方程式のひとつのタイプである楕円型方程式を変分的手法によって研究していた。
詳細は省略するが、この研究は数学の中でも解析学と幾何学(トポロジー)が混じり合っているところが面白いと僕は感じている。 この研究アプローチは、非常に単純にいうと偏微分方程式の解を汎関数(関数の関数)の「臨界点(導関数=0となる点)」として捉える方法である。*1
さてここ数年の僕の研究は、プロジェクト研究、個人研究を含めてほとんどの課題に「『離散』の解析学」が絡んでいる。 一方で上で述べた10年ほど前の研究は「『連続』の解析学」であり、その研究をすすめる中で「トポロジー」の知識を応用していた。
この2つの事実を合わせると、「『離散」の解析学」に関する研究をすすめる上で「『離散』のトポロジー」の知識が重要なパーツになるのでは?とふと感じた。
「(連続関数の)臨界点」を扱うトポロジー理論として「Morse理論」は有名で、強力である。 となると、離散版のMorse理論が気になってくるのであるが、実は「離散Morse理論」はR. Formanによって提案されている。*2
前置きが長くなりましたが、10年くらい前にさらっとは勉強したが「離散Morse理論」について再度勉強したいと思い調べたところ、”Morse Theory: Smooth and Discrete”という本が数年前に出版されていた。 中身をさらっと見たところどても読みやすくまとまっていそうなので、読み進めて行きたいと思う。
Morse Theory: Smooth And Discrete
- 作者: Kevin P Knudson
- 出版社/メーカー: Wspc
- 発売日: 2015/05/29
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今日は「離散Morse理論」の中身については触れないが、今後、たまに紹介していきたい。
PS 完全なる雑談だが「モールス信号」の英語は"Morse code"らしい。
*1:詳細が気になる方は、 変分問題入門―非線形楕円型方程式とハミルトン系 などがおすすめ図書である。
*2:R. Formanによる”A user's guide to discrete Morse theory”なるサーベイ論文がある。(S ́eminaire Lotharingien de Combinatoire 48 (2002), Article B48c)