Funactional Mathematicianのブログ

数学(含む、統計学)で考えていることや、PC(特にMac)のTipsについてのメモの集合です。本blogに書かれている内容は、記事を書いた時点での僕の知識や調査によるものです。そのため、僕の不勉強による間違いや勘違いなどが書かれていることもあり得ます。記事の内容の真偽について、ご自身できちんと確かめて下さいますようよろしくお願いいたします。また、不適切な表現や間違えについては、ご指摘頂けると助かります。 (なお、記事の内容は、所属機関を代表するものではなく、僕個人の見解です。)

【論文】共著論文がアクセプトされました

僕が共著者になっている以下の論文が、"Toxicology and Applied Pharmacology"にアクセプトされました。

Application of cytochrome P450 reactivity on the characterization of chemical compounds and its association with repeated-dose toxicity
Michiko Watanabe, Takamitsu Sasaki, Jun-ichi Takeshita, Madoka Kushida, Yuki Shimizu , Hitomi Oki, Yoko Kitsunai, Haruka Nakayama, Hitomi Saruhashi, Rui Ogura, Ryota Shizu, Takuomi Hosaka, and Kouichi Yoshinari https://doi.org/10.1016/j.taap.2019.114854

この論文では、薬物代謝酵素であるシトクロムP450のいくつかの分子種について、HESSと呼ばれるシステムに各種データが含まれている化合物の阻害活性を、ある程度網羅的に調べています。

HESSとは「有害性評価支援システム統合プラットフォーム(Hazard Evaluation Support System Integrated Platform)」の通称で、ラットを対象とした化学物質の反復投与毒性試験データ含まれています*1。 この毒性試験データは、高品位でかつ、詳細な毒性情報を含んでおり、有用なデータと思います。 そのため、最近はHESSデータをベースとした研究をいくつか進めています。

そして、この論文では、(1) Dragon*2で算出されるいわゆる分子記述子と異なる挙動を示す値が得られること、(2) ラットインビボ毒性試験で観察されているいくつかの毒性所見と関連性があること、の2つを示しています。 (1) からは、シトクロムP450の阻害活性値は、コンピュータ計算で求められる分子記述子では捉えきれていない、生体反応に基づく化合物の何らかの特徴を捉えているパラメータとして利用可能であることを、結論づけています。 (2) からは、毒性予測モデルのパラメータとして役立つ可能性があることを、結論づけています。

僕も早く溜まっている論文を書いて投稿せねば。。

*1:https://www.nite.go.jp/chem/qsar/hess.html

*2:日本では(株)アフィニティーサイエンスが販売していましたが、2019年6月で販売終了しています。いまは、Dragonの後継としてalvaDescが販売されています。(Dragon情報はこちら)( alvaDesc情報はこちら