Funactional Mathematicianのブログ

数学(含む、統計学)で考えていることや、PC(特にMac)のTipsについてのメモの集合です。本blogに書かれている内容は、記事を書いた時点での僕の知識や調査によるものです。そのため、僕の不勉強による間違いや勘違いなどが書かれていることもあり得ます。記事の内容の真偽について、ご自身できちんと確かめて下さいますようよろしくお願いいたします。また、不適切な表現や間違えについては、ご指摘頂けると助かります。 (なお、記事の内容は、所属機関を代表するものではなく、僕個人の見解です。)

2020年やりたいことの追記

2020年元旦に、今年やりたいことを記しました。 しかし、1つ書いたと思って書いていなかったことがあったので、本日の記事で追加したいと思います。

(離散)Morse理論とパーシステントホモロジー群の勉強をしたい。

Morse理論は、トポロジー分野の理論で、かなり大雑把に言えば、関数の臨界点*1を扱う学問です。 臨界点を数学的に扱うことは、色々な問題を解くのに役立つと個人的には思っています。

Morse理論を勉強するには、トポロジーの基礎が必要です。 トポロジーの基礎はかなり以前ですが、現代数学ゼミナールシリーズの『トポロジー』(小林貞一著)で勉強しました。 個人的な印象では、この本を教科書にしている講義はあまりないような気がしますが、コンパクトで程よい入門書だと思います。

トポロジー (現代数学ゼミナール 3)

トポロジー (現代数学ゼミナール 3)

Morse理論については、『モース理論ー多様体解析学トポロジーとの関連』(J. ミルナー著)が名著です。 ぜひ読破したいです。

モース理論―多様体上の解析学とトポロジーとの関連 (数学叢書 (8))

モース理論―多様体上の解析学とトポロジーとの関連 (数学叢書 (8))

  • 作者:ミルナー
  • 出版社/メーカー: 吉岡書店
  • 発売日: 1998/12
  • メディア: 単行本

離散Morse理論は、名前から想像できるように離散版のMorse理論です。 Morse理論が多様体が舞台であるのに対して、離散Morse理論はCW複体(単体的複体より一般的な複体)が舞台となります。 こちらもかなり以前ですが、Forman, R. (2002). A user’s guide to discrete Morse theory. Sém. Lothar. Combin, 48, 35pp. で勉強しました。 しかし、かなり忘れてしまっていますし、理論も進歩し最近出版された本もあるようですので、チェックしたいと思います。

Discrete Morse Theory (Student Mathematical Library)

Discrete Morse Theory (Student Mathematical Library)

  • 作者:Nicholas A. Scoville
  • 出版社/メーカー: Amer Mathematical Society
  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア: ペーパーバック

Morse Theory: Smooth and Discrete

Morse Theory: Smooth and Discrete

  • 作者:Kevin P. Knudson
  • 出版社/メーカー: World Scientific Pub Co Inc
  • 発売日: 2015/10/31
  • メディア: ハードカバー

一方、パーシステントホモロジー群は、図形をその穴に着目して特徴づけるホモロジー群をベースとし、単体的複体のフィルトレーション(増大列)に対してホモロジー群に似たような概念を導入したものと、僕は現時点では思っています。 ただし、まだ勉強を始めていないので間違っているかもしれません。 こちらについては、まずは数少ない日本語で読める入門書である『タンパク質構造とトポロジー』(平岡裕章著)を読破したいと思います。

僕は以前から、大きく見ると「離散版の解析学統計学」を研究してきているので、今回紹介しました「離散Morse理論」や「パーシステントホモロジー群」を自在に扱えるようになれば、研究手法の幅が広がるのではないか、と思っています。 読みたい文献・読むべき文献が多いので、かなり重点的に時間をつぎ込みたいと考えています。

*1:導関数=0」となる点