2020年元旦に、今年やりたいことを記しました。 しかし、1つ書いたと思って書いていなかったことがあったので、本日の記事で追加したいと思います。
(離散)Morse理論とパーシステントホモロジー群の勉強をしたい。
Morse理論は、トポロジー分野の理論で、かなり大雑把に言えば、関数の臨界点*1を扱う学問です。 臨界点を数学的に扱うことは、色々な問題を解くのに役立つと個人的には思っています。
Morse理論を勉強するには、トポロジーの基礎が必要です。 トポロジーの基礎はかなり以前ですが、現代数学ゼミナールシリーズの『トポロジー』(小林貞一著)で勉強しました。 個人的な印象では、この本を教科書にしている講義はあまりないような気がしますが、コンパクトで程よい入門書だと思います。
Morse理論については、『モース理論ー多様体の解析学とトポロジーとの関連』(J. ミルナー著)が名著です。 ぜひ読破したいです。
モース理論―多様体上の解析学とトポロジーとの関連 (数学叢書 (8))
- 作者:ミルナー
- 出版社/メーカー: 吉岡書店
- 発売日: 1998/12
- メディア: 単行本
モース理論―多様体上の解析学とトポロジーとの関連 M.SpivakとR.Wellsによってノートされた講義録に基づく POD版
- 作者:J. ミルナー
- 出版社/メーカー: 吉岡書店
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
離散Morse理論は、名前から想像できるように離散版のMorse理論です。 Morse理論が多様体が舞台であるのに対して、離散Morse理論はCW複体(単体的複体より一般的な複体)が舞台となります。 こちらもかなり以前ですが、Forman, R. (2002). A user’s guide to discrete Morse theory. Sém. Lothar. Combin, 48, 35pp. で勉強しました。 しかし、かなり忘れてしまっていますし、理論も進歩し最近出版された本もあるようですので、チェックしたいと思います。
Discrete Morse Theory (Student Mathematical Library)
- 作者:Nicholas A. Scoville
- 出版社/メーカー: Amer Mathematical Society
- 発売日: 2019/11/14
- メディア: ペーパーバック
Morse Theory: Smooth and Discrete
- 作者:Kevin P. Knudson
- 出版社/メーカー: World Scientific Pub Co Inc
- 発売日: 2015/10/31
- メディア: ハードカバー
一方、パーシステントホモロジー群は、図形をその穴に着目して特徴づけるホモロジー群をベースとし、単体的複体のフィルトレーション(増大列)に対してホモロジー群に似たような概念を導入したものと、僕は現時点では思っています。 ただし、まだ勉強を始めていないので間違っているかもしれません。 こちらについては、まずは数少ない日本語で読める入門書である『タンパク質構造とトポロジー』(平岡裕章著)を読破したいと思います。
僕は以前から、大きく見ると「離散版の解析学・統計学」を研究してきているので、今回紹介しました「離散Morse理論」や「パーシステントホモロジー群」を自在に扱えるようになれば、研究手法の幅が広がるのではないか、と思っています。 読みたい文献・読むべき文献が多いので、かなり重点的に時間をつぎ込みたいと考えています。