Funactional Mathematicianのブログ

数学(含む、統計学)で考えていることや、PC(特にMac)のTipsについてのメモの集合です。本blogに書かれている内容は、記事を書いた時点での僕の知識や調査によるものです。そのため、僕の不勉強による間違いや勘違いなどが書かれていることもあり得ます。記事の内容の真偽について、ご自身できちんと確かめて下さいますようよろしくお願いいたします。また、不適切な表現や間違えについては、ご指摘頂けると助かります。 (なお、記事の内容は、所属機関を代表するものではなく、僕個人の見解です。)

[論文]プレプリントを公開しました

以下のプレプリントを、arXivに公開しました.

Precision for binary measurement methods and results under beta-binomial distributions
Jun-ichi Takeshita and Tomomichi Suzuki
[arXiv]

この論文は,統計的測定精度評価方法に関するものです.バリデーション試験,試験所間(ラボ間)比較試験,での計測値が2値データ(有/無,True/False, Positive/Negativeなど)である場合について,新しい解析方法を提案しています.

2値データに対しては,背後に二項分布を想定することが多いです.二項分布を仮定した場合に,ラボの同等性(各ラボで二項確率pが異なるかどうか)の検定を行おうとすると,分割表の独立性の検定(カイ二乗検定)を利用することが多いと思います.しかし,その場合には各ラボでの反復数nが最低でも10必要となります.一方で現実的には,nが10に満たないラボ間比較試験が実施させています.

そこで本論文では,各ラボの二項確率がpiがベータ分布に従い,piが与えられたときの各ラボの計測値の条件付き確率が二項分布したがうことを仮定し,その仮定のもとでの測定精度評価指標(併行分散と再現分散)とその不偏推定量を提案しています.さらに,各ラボの二項確率がベータ分布に従うことを利用し,各ラボの二項確率の信頼区間を利用したラボの同等性の検定方法を提案しています.