Funactional Mathematicianのブログ

数学(含む、統計学)で考えていることや、PC(特にMac)のTipsについてのメモの集合です。本blogに書かれている内容は、記事を書いた時点での僕の知識や調査によるものです。そのため、僕の不勉強による間違いや勘違いなどが書かれていることもあり得ます。記事の内容の真偽について、ご自身できちんと確かめて下さいますようよろしくお願いいたします。また、不適切な表現や間違えについては、ご指摘頂けると助かります。 (なお、記事の内容は、所属機関を代表するものではなく、僕個人の見解です。)

学術変革領域研究(B)

今年度から新設された科研費「学術変革領域研究(B)」の採択結果が文部科学省のwebpageに出ていました。 採択数は20件ということで、当初の予定通りでしょうか? 応募数が気になるところですが、領域IVについては、たったの2件で狭き門でした。

令和2年度科学研究費助成事業「学術変革領域研究(B)」新規の研究領域について:文部科学省

(実は、、、)領域IVでの採択課題の1つ「シナジー創薬学」(採択課題リストの一番最後の課題)に、僕は参加させてもらっています! 新しい融合研究で、自分自身楽しみです。比較的大きな研究費も頂けますし、成果を出せるように研究に邁進していきたいと思います。

[論文]プレプリントを公開しました

以下のプレプリントを、arXivに公開しました.

Precision for binary measurement methods and results under beta-binomial distributions
Jun-ichi Takeshita and Tomomichi Suzuki
[arXiv]

この論文は,統計的測定精度評価方法に関するものです.バリデーション試験,試験所間(ラボ間)比較試験,での計測値が2値データ(有/無,True/False, Positive/Negativeなど)である場合について,新しい解析方法を提案しています.

2値データに対しては,背後に二項分布を想定することが多いです.二項分布を仮定した場合に,ラボの同等性(各ラボで二項確率pが異なるかどうか)の検定を行おうとすると,分割表の独立性の検定(カイ二乗検定)を利用することが多いと思います.しかし,その場合には各ラボでの反復数nが最低でも10必要となります.一方で現実的には,nが10に満たないラボ間比較試験が実施させています.

そこで本論文では,各ラボの二項確率がpiがベータ分布に従い,piが与えられたときの各ラボの計測値の条件付き確率が二項分布したがうことを仮定し,その仮定のもとでの測定精度評価指標(併行分散と再現分散)とその不偏推定量を提案しています.さらに,各ラボの二項確率がベータ分布に従うことを利用し,各ラボの二項確率の信頼区間を利用したラボの同等性の検定方法を提案しています.

iThenticate

最近はiThenticateなどの類似度判定ツールで,投稿論文の原稿を内容をチェックする前にスクリーニングにかけるjournalもあるっぽいです. ただ,iThenticateはarXivに載っているプレプリントとの類似性もチェックするので,投稿論文のプレプリントarXivに載せていると100%近い類似度がでます.

一方で,Elsevierなどの大手出版社や,多くのjournalはプレプリントを事前に公開することを許していて,プレプリントサーバーに載せていることは出版としてカウントしないと明記されているケースも多いです.

という中で,先日とあるjournalに論文を投稿したところiThenticateのスコアが異常に高い,という理由のみでEditorリジェクトになりました. 自分でiThenticateで類似性判定をしたところ,案の定,arXivに載せてあるその原稿のプレプリントとの類似度が80%程度になっていました. そして,2番目に類似している文章との類似度は1%以下でした.

このような結果が出たので,現在,そのjournalと戦い中です! Editorには,そのjournalの投稿規定をきちんと把握して頂きたいものです.

事前の対応策としては,arXivプレプリントを載せているとということを,cover letterでさらに強調しましょう!というのが今回の教訓です.

spacemacsの導入

僕はいままでemacsを使ってきていましたが,少し前にspacemacsなるものがあることを知りました. そこで,このオリンピック対応(のためであったはず)の4連休を使って,spacemacsの導入と設定を勧めました. 備忘録のために,メモを残しておこうと思います.

spacemacsのインストール

Macの場合は,Homebrewでemac-plusをインストールし,gitからspacemacs用の設定ファイルをcloneすることでインストールできます.

emacs-plusのインストール

複数のバージョンがありますが,僕は最新のversion 28を入れました.

brew tap d12frosted/emacs-plus
brew install emacs-plus@28 --with-spacemacs-icon

Homebrewでのインストールが完了したら,Applicationとしてspacemacsを起動できるように,/Application以下にシンボルリンクをはっておきます.

ln -s /usr/local/opt/emacs-plus@28/Emacs.app /Applications

spacemacs設定ファイルの配置

ホームディレクトリに直に設置しても良いのですが,僕は後々別のパソコンに以降する際に楽になると思って,dotファイルなどの設定ファイル群の大本はDropbox上に配置しています. そこで,Dropbox内のdotfilesフォルダ内のdot_emacs.dフォルダとしてspacemacsの設定ファイル群を配置し,ホームディレクトリへはシンボルリンクをはりました.

git clone https://github.com/syl20bnr/spacemacs ~/Dropbox/dotflies/dot_emacs.d
ln -s ~/Dropbox/dotfiles/dot_emacs.d ~/.emacs.d

spacemacsの初期設定

ターミナル上でemacsとするか,Emacs.appを開くことで,spacemacsが起動します. 最初に起動すると,いくつか初期設定について質問されるので,それに答えていきます.

  1. What is your preferred editing style?
    vimemacsのどちらのキーバインドが好みかを聞かれます.僕は(もちろん)emacsを選択しました.
  2. What distribution of spacemacs would you like to start with?
    標準構成spacemacsか,最小構成spacemacs-baseのどちらにするかを聞かれます.僕は標準構成spacemacsを選択しました.
  3. What type of completion framework do you want?
    編集の際の補完についてhelm,ivy,利用しないのどれにするかを聞かれます.僕は以前用いていたivyを選択しました.

次にカスタマイズを行いましたが,それは次の記事にしたいと思います.

LaTeXで欧文を書く場合はscrartcl.cls

タイトルのそのままで,LaTeXで欧文の文章を書く場合にはscrartcl.clsを用いた方が良さそうです,ということです. つまり

\documentclass{article}

ではなく

\documentclass{scrartcl}

で始めるということです.

LaTeXで欧文の文章を書く場合は,多くの本やWebsiteでは呪文のように\documentclass{article}で始まっていますが,article.clsは余白が広すぎると誰もが思うでしょうし,その他いろいろな調整のデフォルトがいまいちと感じます. そこで,\documentclass{scrartcl}で始めるように改めるだけで,少し不幸せが解消します*1

現時点での僕のLaTeX欧文文章の始まりを,メモしておきます.

\documentclass[a4paper,abstract=on]{scrartcl}

\frenchspacing 
\linespread{1.2} 
\usepackage{geometry}
 \geometry{
 a4paper,
 total={170mm,257mm},
 left=20mm,
 top=20mm,
}

*1:scrartcl.clsの場合,\begin{abstract}~~~\end{abstract}で概要を書いても,見出し"Abstract"がデフォルトでは出ないようです.見出し"Abstract"を表示するには,[abstract=on]のオプションが必要です.

英語で数学

外出も自粛ですし,最近は自宅にいる時間が長いので英語の動画を見ることが多くなりました. 僕は最近Video PodcastiTunes Uにある海外の大学での講義を見ています. ただし真面目に講義を聞いているというよりは,なんとなく流して見ている感じです. 僕は数学が専門でして,特に次の2つを見ています.

この2つを個人的に気に入っている理由としては,

  • 1コマ40分程度なので,海外ドラマの1話と同じくらいの長さでちょうどよい.
  • 内容はほとんど理解している(日本での大学1年生の入門レベルの内容)ので,良い英語リスニングの練習になる.また, 数学に関する英語での言い回しを知ることができる.
  • 黒板での普通の講義を録画したものなので,どこを説明しているのかがわかりやすい.(スライドでの説明になっていて,スライドのみが写っている動画が多いです.)
  • 抽象的な話に入る前に,具体例を使って要点を説明することにかなりの時間をかけている.
  • 数学に関連した雑談も適宜あるので,単調ではない.

PodcastiTunes Uには英語による講義が色々ありますので,自分が勉強したい内容を英語で学習するのも良い英語学習かと思います. 大学レベルの講義だけではなく,もっと一般向けや高校生向けのようなものもあるので,色々と検索して面白そうなもの興味がある内容のものを探してみるのもおすすめです.